理科

理系の親御さんでも苦労する「天体」分野へのアプローチ

天体は苦手、或いは5年生位までは暗記でなんとかなったけど6年生になったら分からなくなったという子は多く見られます。
更に、物理も化学も教えられるという親御さんがいても、入試レベルの天体はちょっと・・というパターンもとても多いです。
それだけ6年生から入試に至るまでの天体は難敵。しかも入試で頻出の分野です。

6年生になると、
「南半球のオーストラリアでは、月の満ち欠けはどうなる?」
というような問題が普通に出題されるようになります。
シンプルですがなかなか厄介な問題で、子供を混乱させます。
そういうときはまず地球儀を自転の方向に回転させてみます。
まずこれで北半球だろうと南半球だろうと、地球は東に向かって回転していることに変わりないことは確認できます。
次に、地球儀の回転を維持したまま上下を逆さまにしてみます(この作業はちょっと難しい)。
すると、回転の方向が逆になったような錯覚に陥ります。
しかし実際は同じ回転のままであることを確認することが重要です。
そしてここで、今まで当たり前のように思ってきた左右の感覚が、南半球では逆になることを子供も肌で感じることができます。

「南半球では月の満ち欠けは逆になる」
言葉ではこう言うほかないかもしれませんが、これでは事実の半分も伝えていませんし、一切応用の効かないまやかしとも言えます。下手をすると「南半球では月は西から昇る」と絶望的な勘違いさえしかねません。

天体は、一言では説明できない「肌感覚」「立体感覚」「俯瞰」を通して想像力をフル回転させる必要のある分野と言えるのです。

あるとき、地球儀の色々な場所に自分に見立てた付箋などを張り、自転させてそこからの見え方を想像してもらいました。
もし自分が赤道にいたらどう見えるか、北極点にいたらどう見えるか、南極点にいたらどう見えるか?
子供自身に床に立ってもらい、その場で地球の自転方向へ回転してもらうことも行いました。

そのとき宇宙に見立てた部屋の天井や壁はどう見えるか?

更に別のあるとき、部屋を暗くして地球儀の少し手前に月に見立てたボールを持ち、懐中電灯を当てて日食の実験をしてみました。
ボールを月の公転の方向に少し動かし、日食の実際の変化のしかたを再現してみました。
ボールの位置を地球儀の逆側に置けば月食の様子も再現できます。

これらはほんの一例ですが、入試レベルの天体問題に対応するには、立体空間の中で上下左右自由自在に視点を動かし想像力を働かせる必要があります。
しかしその想像力を磨くためには、臆せず実際に色んな試みや実験をする必要があります。

こういう試みを頻繁に行った結果、天体分野で正答率がとても低い問題であっても、余裕を持って正解する子の姿を多く見ることができました。
天体分野の良いところは、理解ができていれば比較的短時間で確信を持って正解でき、確実に差を作ることができることです。

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