算数

「場合の数」は大学入試と同じ

これは本当です。
大学入試では数学独特の要素(文字式、確率漸化式など)が加わる問題もあるというだけです。
中学入試の「場合の数」の難問は、そのままの大学入試の難問として出題できるということです。
実際、中学入試と大学入試で全く同じ問題が出題されることは少なくありません。

例えば次の問題。
大学入試としても難問の部類に入る一方で、小4が解くことも可能です。

【問題】
6色で立法体を塗り分ける方法は何通りか?

【解説】
立法体は、6面すべて他と違いは無く特別な場所などありません。
ただ、もしどこかに立方体を置いたら、その瞬間、上と下という特別な場所が出来上がります。
しかし、そんなことを勝手に決めることはできません。元々「無い」上と下という場所を、勝手に「ある」として考えを進めたらめちゃくちゃになってしまいます。
そういうときは、何も無い真っ暗な宇宙に真っ白な立方体が浮かんでいる様子を想像すると良いかもしれません。そこには上も下も無いですよね。
そう考えると、とりあえず最初どこか1面に、とりあえず何か色を塗らないと始まらないということが分かると思います。
そしてどこか1面に何か色を塗った瞬間、その面と向かい合う面が特別な場所になります。最初の面にとって、向かい合う面は一か所に決まるからです。

そういう特別な場所である「向かい合う面」に塗る色の選び方は、もちろん、残り5色から選ぶので5通りとなります。

次は周りの4面(側面)です。
この4面はいくらでも回転でき、それぞれに違いは無い(特別な場所など無い、東西南北など無い)ので、やはりとりあえずどこか1面に残りの色から適当に選んで塗らないと始まりません。
そして1色塗った瞬間、残りの3面はそれぞれ特別な場所に変わります。残りの3面は、既に塗られた3面との位置関係がそれぞれ他とは違う特別な場所となったからです。
(既に塗られた3面が「コ」の字型になっており、残りの3面はそれと組み合うように配置されています)

その残った3面への色の塗り方は、普通の順列なので

3×2×1=6通り

となります。

いよいよフィニッシュです。
まず最初に色を塗った面と向かい合う面に色を塗る方法が5通り。
その5通りそれぞれにつき、側面の色の配置の仕方が6通りと分かりました。
よって、

5×6=30通り

が、この問題の答えとなります。

この問題は、いわゆる「円順列」の考え方が当然カギになってきますが、その前に、その円順列を挟む両面に、そもそも「上下が無い」ところが難しいかもしれません。
「円順列」の考え方は塾でも教えますが、なんとなく「最初を省いて階乗の計算をする」で済ませている子も少なくないと思われます。
最初をなぜ省くのかというと、最初に『違いが作れない』からです。
しかしその最初を『基準』とし、2つ目からはそれとの関係性で違いを見つけていくというのが「円順列」の考え方と言えるでしょう。この感覚が身に付いていれば、この問題も、初っ端の1面は『違いが作れない』ことに比較的すんなり気づけるのではと思います。

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