合格への道標

偏差値では全く分からない中学入試(2)海城編

海城中学(第2回)の入試より・算数

次のように、2の倍数と3の倍数を除いた整数を小さい順に並べます。

1,5,7,11,13,……
このとき、次の[ア]~[ウ]に当てはまる数を求めなさい。

(1) 2011は[ア]番目です。
(2) 2011番目は[イ]です。
(3) はじめの数から順番にたしていくと、[ウ]をたしたときはじめて2011を超えます。

【解答・解説】

これはデイリーサポートだと(1)(2)がB~C位の素直な問題、(3)だけD~E位のやや複雑なものとなります。
これは入試の規則性の問題の中で最も狙われる「群数列」ですが、大切なことは「第何組目」「第何個目」をそれぞれ明確にすることです。

(1) 設問の段階で「2の倍数と3の倍数を・・・」と考え方を導いてくれています。(設問のこういうヒントを見逃さないように!)
2と3の最小公倍数は6なので、まずは2の倍数と3の倍数を「除く前」の整数を
|1, 2, 3, 4, 5, 6|7, 8, 9, 10, 11, 12|13, ‥‥‥
と6個ごとに組み分けします。(これはしっり書いておく必要があります)
そこから設問通りの条件で数字を残すと
|1,5|7, 11|13, ‥‥‥
となり、各組に数字が2個ずつとなります。
まず2011が第何組目に入っているのかを調べるために、2011を6で割ると
2011 ÷ 6 = 335 余り1
となり、2011は第335組目までは全部進んだ後、次の第336組目の1個目の数字と分かります。
ところで設問で設定した各組には実際は数字が2個ずつしか入っていません。335組目までは全部進み、次の336組目の1個目まで進んでいるので、
2個 × 335組 + 1個 = 671個

答えは671(番目)です。

(2) 今度は2011という数字ではなく「2011番目」(つまり2011個目)であることに注意です。
設問によって作られた各組に数字は2個ずつしか入っていません。よって、2011個目が第何組目まで進んでいるかを調べるために、2011個を2個で割ると
2011個 ÷ 2個 = 1005組 余り1個 となります。
1005組目までは最後まで進み、次の1006組目の1個目まで進んでいるということになります。
次に各組を元の6個ずつに戻します。聞かれているのは2011番目の整数の正体だからです。
1005組目までは最後まで進んでいるので、その1005組目の最後の数字は
6 × 1005組分 = 6030 となります。更に次の組(第1006組)の1個目まで進んでいるので
6030 + 1 = 6031
となります。(各組の1番目は、元の6個ずつの整数にとっても1番目です)

答えは6031です。

(3) 群数列は、組ごとの和が等差数列になる性質があります。
第1組目の数字の和は
1 + 5 = 6
第2組目の数字の和は
7 + 11 = 18



各組2個ずつある数字がそれぞれ6ずつ増えるので、組ごとの和は12ずつ増えます。つまり、差が12の等差数列です。
この等差数列となった組ごとの和
6 + 18 + 30 + 48‥‥‥
の計算が2011を超えるときを考えることになります。
等差数列の和は
(最初の数+最後の数)× 並んだ個数 ÷ 2 です。
この段階では、まだ「最後の数」も「並んだ個数」も分からないですが、「並んだ個数」が決まれば「最後の数」も決まることに注目です。
そこで、「並んだ個数」を□とし、その□を使って□番目の数字(つまり「最後の数」)を表すことを考えてみます。
差が12の等差数列なので、「× 12」を使って表せるはずです。
すると、
□ × 12 - 6 = □ 番目の数字 と表せることが分かります。

これを、先に上げた等差数列の和の式に当てはめると
{6 + ( □ × 12 - 6)}× □ ÷ 2 ≒ 2011(≒は約という意味)となり、まとめると

□ × □ × 6 ≒ 2011 となります。よって、
□ × □ ≒ 335.166… となります。
18 × 18 = 324 なので、まず □ に18を当てはめると
18 × 18 × 6 = 1944 となります。
つまり、第18組目までの和が1944ということですが、次の19組目の1個目の数字が何かを出す必要があります。
第18組目の最後の数字は、元々各組6個ずつ数字があることから
6 × 18 = 108 となります。
ということは、次の第19組目の1個目の数字は
108 + 1 = 109 です。
これを先ほどの1944にたすと、
1944 + 109 = 2053 となり、ここで2011を超えたことになります。

よって、答えは109です。

【考察】

(3)だけはそれなりに複雑な手順を踏まないと答えまで行きつくことはできませんが、これは塾の中位クラス以上であれば何度か演習させられる類の、ある意味『見慣れた発展問題』です。解説となるとかなりの文字数を要するものの、この類の規則性の仕組みが理解できていて訓練もされていれば、数分以内に解答できるでしょう。

海城の算数は各分野こういう感じで、基本~やや応用問題が6~7割、残りは『面倒なものもあるが形式は一般的な発展問題』と言えます。
そのまま汎用的な問題集として使えるような、至って癖の無い問題の集まりが海城の算数です。

海城は、第1回も第2回も問題の難易度に顕著な差は見られません。
また、50分で大問6つとなっており、量としては平均的であり、合格ラインは約6~7割です。
ということは、仮に面倒な問題は全て捨てても、やや応用レベルまでをミス無く全て正解すれば算数は合格ラインに乗る!ということも言えます。

しかし人間、全くミス無しというのも難しいので、発展問題でも少し加点しておきたいところです。
そういうときお勧めなのが図形問題です。
海城の図形問題に奇抜なものはほぼ無く、塾のテキストや問題集の応用レベル(難問レベルではなく)までをしっかり練習していれば全問正解できる可能性は高いでしょう。
更に図形問題は、一旦解法が思いつけばその後の作業は比較的ラクなものが殆どです。
(そういう意味では図形問題がお勧めなことは海城に限った話ではありませんが)

※因みに、解法は分かっているのに作業がとても面倒になってしまいがちなものが、上で扱った「規則性」や「数の性質」です。

海城は上位校ではあるものの、対策として無理に難解な問題の克服の為に時間を費やす必要はありません。
海城の算数で合格ラインに乗せるには、まず基本~やや応用レベルまでを確実にミス無く解けるようにすることです。
その上で、得意分野に絞った『典型的なタイプの発展問題』で少し上乗せするという戦略が最も合理的と言えるでしょう。

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