合格への道標

偏差値では全く分からない中学入試(4)大妻編

大妻中(第1回)の入試より・算数

姉と妹がお金を出し合って、定価8700円の商品を買いました。姉は自分の所持金の2/3を、妹は自分の所持金の3/5をそれぞれ出し合って、代金を支払いました。残った所持金を比べると、姉の金額は妹の金額の2倍より500円多くなりました。代金を支払う前の姉妹の所持金はそれぞれ何円ですか。

※この問題は、一見ごく簡単な割合の問題か普通の「相当算」かと思えますが、読み進めると、どうも別の手法が必要のようだと気付くはずです。これはデイリーサポートC~Dレベル位でしょう。

【解答・解説】

このタイプの問題は、当然のことながら「使った量」「残った量」(この場合は金額)のそれぞれに注目する必要があります。
姉 : 使った金額 = 所持金の 2/3 ⇒  残った金額 = 所持金の 1/3
妹 : 使った金額 = 所持金の 3/5 ⇒  残った金額 = 所持金の 2/5

姉妹の使った金額の合計が8700円と分かっているので、

姉の所持金 × 2/3 + 妹の所持金 × 3/5 = 8700円 (これをアの式とします)

という式が立てられます。そしてもう一つ足し算か引き算の式が立てられれば「消去算」で解決できるのでは?!
と気づけばもう半分解けたようなものです。

では文章に従って式を作ります。日本語の「は」は「=」に当たることを強く認識しておくと、すんなり式が立てられると思います。

姉の所持金 × 1/3 = 妹の所持金 × 2/5 × 2 + 500円

姉の所持金 × 1/3 = 妹の所持金 × 4/5 + 500円 (これをイの式とします)

ここからは消去算の手法で進めます。
(因みに消去算とは、数学の「連立方程式」のようなものです)
消去算では、同じ種類の量をそろえますよね。ここでは、姉の所持金をそろえた方がうまくいきそうです。
アの式とイの式の姉の所持金をそろえるために、イの式の全体を2倍します。すると、

姉の所持金 × 2/3 = 妹の所持金 × 8/5 + 1000円 (これをウの式とします)

となります。
「=」は「全く同じ」という意味ですし、同じもの同士は交換できます。
よって、アの式の「姉の所持金 × 2/3」とウの式の右側「妹の所持金 × 8/5 +1000円」は入れ替えられます。

さっそくアの式の「姉の所持金 × 2/3」のところを入れ替えてみます。(数学で言うところの「代入」です)

妹の所持金 × 8/5 + 1000円 + 妹の所持金 × 3/5 = 8700円

妹の所持金 × 11/5 + 1000円 = 8700円

妹の所持金 × 11/5 = 7700円

ここまで来たら、あとは

7700円 ÷ 11/5 = 3500円

妹の初めの所持金は3500円と分かり、これを初めのアの式に当てはめると姉の初めの所持金は9900円と分かります。

それなりの手順が必要で、初めてこういう問題を見たときは解法に戸惑うかもしれませんが、『割合の問題だろうと消去算に落とし込む』という感覚が身に付けば、その後は比較的スムーズに解決できるタイプの問題と言えます。

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