中学受験の算数、3つのカテゴリーの中の図形について考えてみます。
※参考:中学受験の算数 5年生の夏までに考えること(文章題編)
図形は早い時期から訓練可能で、ある面ではどこまでも力を磨いていくことができます。
ただ、だからこそ、中学受験の入試では大人でも解答が非常に困難な難問を打ち出してきます。
(中学受験とは直接関係ありませんが、算数オリンピックの図形問題の難しさはもう尋常ではありません。笑)
ではそのために、図形はできる限りどんどん先取りし、難問にもどんどん挑戦していった方が有利なのか?
というと、半分は当たっているものの、そう単純な話でもありません。
何故なら大きな転換期があるからです。
それが「比」です。
サピックスをはじめとした多くの中学受験対策の塾では、5年生の夏休みまでに割合を学びます。
それも比較的長い時間をかけ、あらゆる面からのアプローチで深い理解を図ります。
それだけ割合の概念は算数全体を左右する重要な考え方ということです。
このことは[文章題編]でも言及した通りです。
そして、それを十分理解したという前提で、夏以降からいよいよ比を扱うことになります。
この比こそが、図形を
〈比以前・比以後〉
に分けることになります。
ちょっと大げさに言うと、「比」の概念は、平面・立体に関わらず、図形分野全体を支配するまでになります。
図形分野の主役「相似」も秋から登場します。もちろん比の概念から生まれたものです。
更にこの「相似」は、多くの子が苦手とする「速さ」の分野にも大きな影響を与えます。
入試レベルの「速さ」の問題は複雑で、それを処理するには『線分図』や『進行グラフ』が必要不可欠なツールとなります。
『線分図』には「比」を使い、『進行グラフ』には「比」と「相似」を使います。
いずれにしろ、「比」を十分に使いこなせなければ、中学受験の算数は半ばお手上げ状態になると言ってもよいでしょう。
(理科でも、当然のように「比」は必要不可欠なものとなります)
中学受験生にとって、4年生までが家の基礎固めだとすれば、骨組みを作り上げる学年は間違いなく5年生です。
※以下のブログも是非参考にしてください
万能の者、汝は 比 なり