算数

6年生まで表面化しにくい平面図形の課題

平面図形が苦手という子は少なくありません。
しかし、入試で平面図形を出題しない中学などまずありません。
それどころか算数の半分近くを平面図形で占める場合もあります。

当然サピックスでも3年生の段階からこれでもか!という感じで「基礎トレ」「デイリーサポート」「デイリーサピックス」を使って何度も授業や宿題に取り入れて来ます。
更にテストにおいても、全範囲となる「サピックスオープン」「組分けテスト」はもちろんのこと、たとえ平面図形の回ではない「マンスリーテスト」でさえ、少なくとも小問題として平面図形は出題されます。
これは、どれだけ平面図形が入試のカギを握っているかを示しているとも言えるでしょう。

ところで、それほどしつこく演習しているはずなのに、いざ指導をしてみると、ボリュームゾーン上位の子でさえ実はいつ崩れてもおかしくない『スカスカの土台』の上に立っているケースが驚くほど多いのです。
しかし、すぐ理由は明白になります。

『今までカンと経験でごまかしてきたから』です。

平面図形の落とし穴は、学年が若ければ若いほど、この『カン』や『経験則』だけである程度高得点を取れてしまうところです。
1年後、或いは数か月後には必ず破綻するつかの間の高得点です。

例えば、後に武蔵中に算数満点(自己申告)で合格した男子との5年生終わり時の会話です。(当時の算数の偏差値はボリュームゾーン下位。国語に至っては偏差値20台もしばしば)
生徒「ここは60°だから、えーこっちはー、」
講師「ちょっと待って!!なぜここは60°?」
生徒「だってどう見ても60°だから」(何か問題でも?という感じで)

また、5年生前半まで安定してαクラスだったのに、その後どんどんクラスを下げて6年生初めにはDクラス辺りを行ったり来たりだった女子との会話。(最終的に豊島岡合格)
生徒「ここは12㎝だから、えーとこっちはー、」
講師「ちょっと待って!!なぜここが12㎝?」
生徒「だってこっちは6㎝だから、その倍の12㎝!」
講師「なぜ倍なの?」
生徒「だって、こういう問題は必ず倍だから」(なぜそんな野暮な質問を?という感じで)

こういった、ある意味ほのぼのとしたやりとりは枚挙にいとまがなく、本一冊が出来上がるほどです(笑)。
しかし、ここを絶対見逃してはならないのは言うまでもありません。或いはこここそが決定的なターニングポイントです。

繰り返しになりますが、この『自分の経験値≒カン』に頼る方法でも、ある時期まではそこそこ点数は取れます。
しかし、遠からずそれは100%破綻します。それは5年生半ば辺りからかもしれませんし、6年生になってからかもしれません。
そして6年生の「組分けテスト」や「サピックスオープン」、更に入試問題ではもうほとんど通用しなくなるのは自明です。

60°である根拠、直角である根拠、12㎝である根拠、平行である根拠、相似である根拠、合同である根拠、etc・・
これらを一つ一つ納得させる作業は一見時間がかかり非効率に思えるかもしれません。
しかし、これをせずして算数の伸びは絶対に望めませんし、これ無しの演習こそ膨大な時間の無駄使いなのです。

つまり急がば回れです。

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